心電図波形 発作性上室性頻拍3 [心電図波形]
携帯型心電計で記録した発作時の心電図波形を紹介します。
発作性上室性頻拍:洞結節リエントリー
波形は一見、洞頻脈みたいですが、房室結節リエントリーの発作時と同様の、身体の揺れを感じていました。
その時は、いつものPSVTの発作が起きたと思いました。
ただ、いつもとは時間が違うことと、発作の前に、急に少しの間、眼の前が暗くなり、気持ちが悪くなったのです。
本当に少しの間、心臓が止まっていたのではないかと感じました。
この発作が起きなければアブレーションは受けてはいません。
3日間で4回ほど起きて、その度に、眼の前が暗くなり、記憶が若干飛ぶようなこともありました。
この発作は私にアブレーションを受けることを決心させた発作なのです。
最初の発作時に、「脳に血が行っていないんじゃない?」 なんて、
そのくらい考える余裕はありました。
測定後、波形を見て、あれ? っと以外なものでした。
発作が止まるとき(緑の矢印)
心電図所見:A 波形に乱れはないようです。
心拍数:96拍/分
かなり気持ちが悪くなっていたのに、波形に乱れはないようですって・・・
心電計ではつかめない波形の乱れ???
止まったときは、自分では明確にわかります。
本当に、一瞬で楽になる。
でも、どうして?
まだ、少し速いですが、こうなったら、もう大丈夫。
この波形は、徳島大学名誉教授、森先生ののWEB、心臓病と卯建のホームページのこの心電図で何が分かるか? 症例15と同じでした。
そのホームページには、本例のように心拍数があまり多くない心房頻拍は上室頻拍としては非典型的で、slow paroxysmal atrial tachycardia (SPAT) と呼ばれている。
SPATは「発作時の心拍数が150拍/分以下で、少なくとも5拍以上持続する心房頻拍」と定義されている。
機序は洞結節リエントリー:正常の洞性P波に類似したP波がQRS波の前方に出現する。
ここで記載されている予後には「ペースメーカー埋め込み率が高い」とあります。
このリエントリー回路は次に示すアブレーションにより焼灼されました。
この部分は洞結節に近いところなので、アブレーションは神経を焼いているようでものすごい痛みを感じました。
あまりの痛さに半切れ状態だと思われますが、アブレーション後は、眼の前が暗くなるような発作は起きていません。
これで、予後のペースメーカーを埋め込まなくても良くなったとしたら、
一石二鳥なんですけどね!
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